氷女子と水男子



放課後。

「あ…あんたの所為なんだから!」

「お前の所為だよ! いつまでたっても水のよさを理解しないから…」

「それはそっちよ!」

居残り掃除でもなお、2人は言い争う。

「ああ…あの口に入るときの心地よさ。なんでお前にはわかんないかな」

「そっちだって、ひとつひとつ違う個性をかもし出す最高のあのフォルム。なんであのよさがわからないの?」

「氷なんてゴツゴツしてるだけじゃん」

「水なんて形ないじゃない」

「液体なんだから、しょうがないだろ! 形意外にもいいところはたくさんある!」

「氷は固体なの。液体よりえらいんじゃない?」

「なんだよその理屈!」

「水なんてへにょへにょっとしててまるであんたみたい」

「う、うるせぇな! 弱いっていいたいのか!? 氷だって固くて、まるでお前の頭みたいだよ!」

「な、なによそれ! どういうこと!?」

「そのまんまだよ!」

「失礼ね! 大体あんただって…」

結局、2人の手は動かないまま。

後から先生が来て、こっぴどく怒られたのは言うまでも無い。

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