氷女子と水男子
水を凍らせれば氷が出来る。
この学園は2人一部屋の寮制である。
「…ただいまー」
「おかえり、氷華。遅かったねー」
氷華を快く迎え入れてくれたのは、同じ部屋の住人、玲菜。
氷華より1つ上の学年だが、姉妹のように仲が良く、タメで話せるほど。氷華の一番の相談相手だ。
「今日も駄目。アイツ、わたしの気持ちちっとも理解してくれない」
「…そっか。今日もか」
鈍いねー、と玲菜は言う。
「まぁね…、わたしの言い方も駄目なんだけどね? なんか、いっつもキツく言っちゃうの…アイツに対しては」
「氷華、照れ屋さんだからねー」
「……」
氷華は座ってクッションの中に顔を埋める。
「素直になれないんだ、やっぱり。どうしたらいいの?」
クラス内のときの態度からは想像も出来ないほど、氷華は弱々しく玲菜に聞く。
「うーん…。やっぱり氷華の気持ちの問題だよ。好きな相手ほど、自分を理解してほしい。そんな気持ちは、誰にだってあるけどね」
「……うん」