君の左のポケットで~Now&Forever~
突然泣き出したわたしに慌てるレンの前で、止めようと思っても涙は止まらなかった。
通りを行くヒトが、みんなこっちを見ていることがわかったけれど、それでも泣き止むことができなかった。
レンは一生懸命わたしをあやしている。
「どした? なんかオレ変なこと言ったか? あ、笑ったからか? ごめん、ナナ、頼むよ、泣くなって」
レンを困らせたくはなかったけれど、
わたしは、レンの手を握ったまま、
あったかいレンの体温を感じたまま、
どうしても泣きやめなかったんだ―――
手を握ってもらえたわたしは、
白クマだったころに想像したように、
やっぱり、
嬉しくて、泣いてしまったんだ―――