君の左のポケットで~Now&Forever~
いつか、レンは気づくだろうか。
わたしがあのストラップだったっていうことに。
ううん、そんなこと、できるはずがない。
そんなこと、考えるはずもない。
ただ隣にいるわたしを、ナナでいるわたしを、好きになってくれるだろうか。
わたしは、レンに強くしがみついた。
今、ここにいる自分が嘘じゃないように。
包んでくれている胸の温かさが消えないように。
離れたくない、そう強く願った。
弱くもなく、きつくもなくわたしを包むレンの腕は、ただ優しく背中を撫でている。
レンの胸の中にいるのに、
しがみついてもしがみついても近づけない気がして、
わたしはただ、レンの胸に顔を押し付けて、震えて泣くことしかできなかった。