君の左のポケットで~Now&Forever~
11.嫉妬とキスと
翌朝、レンは寝坊もせず普通に7時に起きた。
一睡もできなかったわたしは、レンがそっと起き上がるのをベッドの中でうずくまって見ていた。
頭がぼうっとして、働かない。
「おはよ」
レンは、ぼんやりと横たわったままのわたしにそう言って、てきぱきと身支度を整えていく。
「ちょっと上達したんじゃない?」
起き抜けの、ちょっとむくんだ顔のレンは、焦げ目も気にせず、黙々とカレーを食べていた。
わたしはベッドから起き上がれず、ぼうっとしたままそんなレンの顔を見る。
いつもと違う。
いつもなら、「焦げ臭い」とか「どうしたらこうなるの?」とか、ちょっと意地悪して言うはずなのに。
変に、優しい感じがする。
「ナナ、オレもう行くけど、今日バイトだしちょっと遅くなるから」
「…うん」
「もう少し寝てろ。昨日遅かったし、眠いだろ? 今日は何にもしなくていいから」
「…うん」
「じゃ、行ってくるな」
「…いってらっしゃい」
玄関を出ていくレンの姿を、わたしはベッドに横になったままで見送った。
黒いシャツのレンの後ろ姿を。
ぼうっとする、頭のままで。
一睡もできなかったわたしは、レンがそっと起き上がるのをベッドの中でうずくまって見ていた。
頭がぼうっとして、働かない。
「おはよ」
レンは、ぼんやりと横たわったままのわたしにそう言って、てきぱきと身支度を整えていく。
「ちょっと上達したんじゃない?」
起き抜けの、ちょっとむくんだ顔のレンは、焦げ目も気にせず、黙々とカレーを食べていた。
わたしはベッドから起き上がれず、ぼうっとしたままそんなレンの顔を見る。
いつもと違う。
いつもなら、「焦げ臭い」とか「どうしたらこうなるの?」とか、ちょっと意地悪して言うはずなのに。
変に、優しい感じがする。
「ナナ、オレもう行くけど、今日バイトだしちょっと遅くなるから」
「…うん」
「もう少し寝てろ。昨日遅かったし、眠いだろ? 今日は何にもしなくていいから」
「…うん」
「じゃ、行ってくるな」
「…いってらっしゃい」
玄関を出ていくレンの姿を、わたしはベッドに横になったままで見送った。
黒いシャツのレンの後ろ姿を。
ぼうっとする、頭のままで。