君の左のポケットで~Now&Forever~
16.雨の夜 不安と現実
「偶然、なのかな」
「不思議だね」
レンから赤いスカーフをもらった日の夜、
わたしとレンは、同じ夢を見た。
朝、ベッドで身体を起こしたわたしは、少しの間、ぼうっとしてた。
夢なのか現実なのか、よく境のわからない夢だった。
ソファを見ると、レンも起き上がって、ぼんやりとしていた。
「レン、おはよ」
「おはよ」
顔を見合わせたわたしたちは、きっと同じ顔をしていたと思う。
「レン、あたしね、お母さんの夢、見た」
「え?」
「レンの、お母さんの夢」
「……」
「レンも、一緒だった」
「…オレも」
「え?」
「オレも、お袋の夢見たよ。ナナも…いた」
「ホントに?」
「ああ」
夢の中のレンのお母さんは、
あの時と同じ、白いカーディガンを着ていて、
何を話すわけでもなく、ただ優しく、ホントに優しく微笑んでいた。
お母さんの周りは、ぼんやりと白くって、
だけど、はっきりとした存在感があって、
あの日、レンと一緒に捧げた白い小さな花束を胸に包んでいた。
「不思議だね」
レンから赤いスカーフをもらった日の夜、
わたしとレンは、同じ夢を見た。
朝、ベッドで身体を起こしたわたしは、少しの間、ぼうっとしてた。
夢なのか現実なのか、よく境のわからない夢だった。
ソファを見ると、レンも起き上がって、ぼんやりとしていた。
「レン、おはよ」
「おはよ」
顔を見合わせたわたしたちは、きっと同じ顔をしていたと思う。
「レン、あたしね、お母さんの夢、見た」
「え?」
「レンの、お母さんの夢」
「……」
「レンも、一緒だった」
「…オレも」
「え?」
「オレも、お袋の夢見たよ。ナナも…いた」
「ホントに?」
「ああ」
夢の中のレンのお母さんは、
あの時と同じ、白いカーディガンを着ていて、
何を話すわけでもなく、ただ優しく、ホントに優しく微笑んでいた。
お母さんの周りは、ぼんやりと白くって、
だけど、はっきりとした存在感があって、
あの日、レンと一緒に捧げた白い小さな花束を胸に包んでいた。