君の左のポケットで~Now&Forever~
ユウ君は、夕方に病室を訪れていた。

わたしがレンのタオルを交換していたとき、一人で病室に来ていたユウ君は、レンの傍に座ってその髪を撫でていた。



「レン…ごめんな」



小さく呟く声が聞こえた。


繰り返し何度も「ごめん」と呟くユウ君の背中は、

まるで別人のように影を落としていた。



「ユウ君…」



声をかけてあげたかったけれど、

その姿があまりにも心細くて、わたしも入り口に立ち尽くすしか出来なかった。


辛いのは、わたしだけじゃない。

ユウ君も、同じ思いで…ううん、それ以上に、辛かったに違いない。


自分をかばってこうなってしまったレン。

そのレンを、何も出来ずに見守るしかできない自分。


その苦しさが滲み出た背中だった。






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