君の左のポケットで~Now&Forever~
18.失いたくないもの
アパートへ向かうタクシーの中、わたしは込み上げる不安に襲われたままだった。
レンと向かいあったユウ君の背中。
影を背負った背中は、もっと別の、何かが張り付いていた。
わたしに向けられた穏やか過ぎる微笑み。
優しい手のひらから流れ込んできた感情。
ユウ君は、何かを決断していた。
あってはいけない、何かを。
「ユウ君…お願い…間に合って」
わたしは窓の外を流れる灯りを見つめながら、動悸したままの胸を押さえていた。
アパートの前で止まったタクシーを降り、わたしは真っ直ぐユウ君の部屋へ駆け出した。
呼鈴を押す手間ももどかしかった。
ドアをおもいっきり叩き、ユウ君の名前を呼んだ。
けれど、返事はなかった。
叩くドアの音だけが、大きく響いた。
覗いた窓からは灯りが漏れている。
ユウ君は中にいるはずだった。
レンと向かいあったユウ君の背中。
影を背負った背中は、もっと別の、何かが張り付いていた。
わたしに向けられた穏やか過ぎる微笑み。
優しい手のひらから流れ込んできた感情。
ユウ君は、何かを決断していた。
あってはいけない、何かを。
「ユウ君…お願い…間に合って」
わたしは窓の外を流れる灯りを見つめながら、動悸したままの胸を押さえていた。
アパートの前で止まったタクシーを降り、わたしは真っ直ぐユウ君の部屋へ駆け出した。
呼鈴を押す手間ももどかしかった。
ドアをおもいっきり叩き、ユウ君の名前を呼んだ。
けれど、返事はなかった。
叩くドアの音だけが、大きく響いた。
覗いた窓からは灯りが漏れている。
ユウ君は中にいるはずだった。