君の左のポケットで~Now&Forever~
19.この部屋であなたと
ぽっかりと、穴が開いてしまったような部屋だ。
この数日間で、こんなにも印象が変わってしまうなんて。
レンと積み上げた時間が削げ落ちてしまったような部屋の中、
わたしはぺたりと床に腰を下ろしていた。
レンがいつも座っていたソファ。
大学へ行くレンを見送ったベランダのカーテン。
レンの匂いのする布団に包まれて眠ったベッド。
こんなにも、影の薄いものだったろうか。
ピンクとブルーのおそろいのマグカップをのせたテーブルも、
レンの帰りを待ちわびてそわそわして立っていた玄関も、
レンがいないっていうだけで、色が無い。
ひっそりと、ただ無機質で。
すべて、夢だったんじゃないかと思うくらいだ。
でも、思い出は、ちゃんと残っていて。
一緒に食べたオムライスもハンバーガーの味も、
ユウ君にチュウされそうになったことも、
レンに助けてもらったことも、
何度も謝っていたユウ君の姿も。
大きなケーキの味も、
泣いてレンを困らせたことも、
抱きしめられた腕の感触も、
たくさん、キスをしてくれたことも。
全部、目を閉じると鮮やかに浮かんでくる。
わたしが、ヒトとして味わえた生活。
叶えたかった想い。
やっとつかめた幸せ。
友情の温かさと力強さ。
大切なヒトが傍にいる喜び。
この数日間で、こんなにも印象が変わってしまうなんて。
レンと積み上げた時間が削げ落ちてしまったような部屋の中、
わたしはぺたりと床に腰を下ろしていた。
レンがいつも座っていたソファ。
大学へ行くレンを見送ったベランダのカーテン。
レンの匂いのする布団に包まれて眠ったベッド。
こんなにも、影の薄いものだったろうか。
ピンクとブルーのおそろいのマグカップをのせたテーブルも、
レンの帰りを待ちわびてそわそわして立っていた玄関も、
レンがいないっていうだけで、色が無い。
ひっそりと、ただ無機質で。
すべて、夢だったんじゃないかと思うくらいだ。
でも、思い出は、ちゃんと残っていて。
一緒に食べたオムライスもハンバーガーの味も、
ユウ君にチュウされそうになったことも、
レンに助けてもらったことも、
何度も謝っていたユウ君の姿も。
大きなケーキの味も、
泣いてレンを困らせたことも、
抱きしめられた腕の感触も、
たくさん、キスをしてくれたことも。
全部、目を閉じると鮮やかに浮かんでくる。
わたしが、ヒトとして味わえた生活。
叶えたかった想い。
やっとつかめた幸せ。
友情の温かさと力強さ。
大切なヒトが傍にいる喜び。