君の左のポケットで~Now&Forever~
お母さんは、何も言わずただ優しくわたしを抱きしめてくれていた。


わたしはその安心感に包まれて、お母さんの腕の中で、そっと目を閉じた。



まるでレンにそうしてもらっているような懐かしい感覚は、

切なくてきゅんとして、

それでもやっぱり幸せで、

トゲが刺さっていたような心の深い部分が、

ゆっくりと解されていくような気持ちに包まれていた。



もういい。

本当に。

わたしは、もう、充分だ。



レン、ユウ君、そしてお母さん、


……ありがとう。




お母さんの胸からそっと顔を上げる。

目を細めたお母さんは、けれど少し切ない表情でわたしを見ている。



お母さん……

伝わったかな。

きっとわたしも、お母さんと同じ表情をしている。

切ないけれど、でも、受け入れた凛とした顔。


少し微笑んでお母さんを見つめると、

お母さんはわたしの額にそっと唇を当てて、静かに頷いた。




辺りがぼんやりと滲んで薄れていく。

真っ白な光に覆われた夢の中のすべてのものが、

ぎゅっと目を閉じたわたしの周りから遠ざかっていった。




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