君の左のポケットで~Now&Forever~
赤い色が嫌いなレン。
時々、わたしを握り締めたままぼんやりとするレン。
毎年、同じ日に同じ場所に行くレン。
あの横断歩道と、お母さんの名前が刻まれた墓石の前に、必ず小さな白い花束を置くレン。
その姿を見て、
ヒトには忘れられない思い出があることを知ったんだ。
わたしにとっては記念日で、
レンにとっては誕生日、
そしてお母さんの命日のその日に、
花束を捧げ、そっと小さく手を合わすレンを見上げるたび、
わたしはいつも苦しくなる。
その場所でレンにそっと触れられると、
とても切ない気持ちになる。
レンの手のひらと指先から、
言葉にならない悲しみと苦しさが漏れてくるから。
―――ココロの傷が、よく分かるから。