君の左のポケットで~Now&Forever~
4.寝顔を見つめて想うこと
レンのアパートは、この公園から自転車で3分くらいのところにある。
屋根は淡い緑色で、外壁はカスタードクリームみたいな色をしている。
南向きのベランダの柵は屋根の色と同じで、
レンと同じくらいの年齢のヒトたちが住んでいる。
レンと同じ大学に通うヒトもいて、レンはそのヒトと仲良しみたい。
ときどき、互いの部屋に遊びにいって、映画のDVDを見たり、ただテレビを見ていたりしている。
夕飯を一緒に食べたりもする。
今年の初めはよく、キムチ鍋なんかを作っていた。
「闇鍋」とか言って、豆腐とかネギとか、何だかわからないけどミカンとかソースとか入れていたこともある。
鍋のなかは真っ黒で、想像だけの味でも気持ち悪かった。
男の子は変なことをする。
時々、他の仲間もやってきて、女の子のこととか、バイトのこととかをひっきりなしに喋っている。
わたしは大体、そんなレンたちの様子を左のポケットの中から顔だけを出して眺めている。
見れなくて、声だけを聞いてるときもある。
どっちにしても、その輪に入れないからなんとなく寂しかったりする。