君の左のポケットで~Now&Forever~
結局、レンはひとりで大学へ向かった。
裸で寝ていたわたしは、当然自分の服も持ってないし、
レンの服で学校に行ってもマズイだろうってことで。
「とりあえず帰ってもいいし、オレが戻ってくるまでここにいてもいいし」
みたいなことを言って、レンはいそいそと玄関から出ていった。
ベランダから自転車置き場を覗くと、
レンは自転車の側で、ぼうっとしてた。
ふっと顔を上げてベランダを見上げたレンと目が合った。
わたしが軽く手を振ると、
レンは戸惑った顔して、
だけど少し笑って手を振ってくれた。
何となく、口元がゆがんでいた。
首をかしげながら自転車にまたがったレンの後ろ姿を、
わたしは道の角を曲がって見えなくなるまで、ずっと見送った。