君の左のポケットで~Now&Forever~
土曜日だったその日、午前中で講義の終わったレンが戻ってきて、
部屋にまだわたしがいたことに驚いていた。
名前や住んでるところなんかを聞かれても、
曖昧な返事しか返せないわたしを不審がっていたけれど、
結局レンは、わたしは記憶喪失みたいな女の子で、
何も思い出せない可哀想な子…みたいに解釈したみたい。
帰る場所もなくって、名前さえ覚えてない。
そんな女の子を追い出すわけにもいかなかったみたいで。
「仕方ないから…何か思い出すまで、ここにいるしかないよな…」
そう言ってぽりぽり頭をかいていた。
優しいレンは、わたしを部屋に住まわすことにして、
あれから、一週間たったってわけで。