君の左のポケットで~Now&Forever~
レンジの使い方を教えてもらったわたしは、
夕食の残り物を温めなおすことができるようになったし、洗濯物をきちんとたためるようにもなった。
掃除機の使い方を教えてもらった日は、一日中隅から隅まで掃除機をかけた。
レンが帰ってきても、まだ掃除機を持ったまま部屋中を歩き回るわたしを見て、笑われた。
包丁の使い方とコンロの使い方を習って、料理上手なレンの得意メニューのオムライスを作ってみた。
帰ってきたレンは、まずキッチンのまわりに散らばった大量の卵の殻に驚いて、フライパンの焦げ具合に口をつぐんでいた。
それでも何とかチキンライスもどきを卵でくるんで、
その上にケチャップで「レン」と描いた皿を差し出した。
見た目は悪いけれど「レン」のケチャップ文字は上出来だと思いながら。
渋い顔で、「うま…くない」と言われて、むくれてわたしも口に入れてみたけれど、ホントに美味しくなかった。
結局、作り直してくれたレンのオムライスを食べた。
すっごく美味しくて、ふたりで笑った。
わたしがめちゃくちゃにしてしまったキッチンをふたりで掃除しながら、
シンクのなかの卵の殻が予想以上に多くって、また笑った。