君の左のポケットで~Now&Forever~
7.手のひらの温度
一週間目の土曜日の午後。
わたしとレンは、駅前にお買い物に行った。
ヒト、ヒト、ヒト…とにかくヒトの洪水。
ぶつかりそうになるたくさんのヒトを避けながら、わたしはふらふらと歩いていた。
「大丈夫か?」
「うん、なんとか…」
心配顔のレンは、頭ひとつ分高い位置からわたしを見おろしている。
わたしはさっきからずっと、レンのシャツの裾を握りしめたままだった。