誰もいない姫の屋敷。
私の居場所はこの窓際。
誰も何も見えやしないの。
そう、今日も寂しい誰かの隣。
それはいつもと変わらぬ毎日
そう思ったのは一瞬だけよ。
「姫、君は孤独な可哀想な子」
窓の外から聞こえる声。
私は誰も見えやしない、
私は何も聞こえやしない
だけど、見えた、君の事。
だけど、聞けた、君の声。
少し高い、君の呟き。
「姫…」
「姫、君は…」
私の耳には2つの声だけ。
隣の声と、窓の外の君の声。
知りたいわ、君の声、もっと…
「姫、君は孤独なんだ」
孤独なんて言葉知らないわ。
だって君の声が聞こえたの。
窓の外の君の声。
いつか隣で聞きたいわ。