あの日の朱雀
第10話 『初動物園』
また、朱雀さんと過ごす休日がやってきた。
土曜日の朝。
私は早く目覚めた。
隣で寝る朱雀さんを起こさないように、静かに起き上がった。
「よいしょっ…」
家から持ち出した洋服を出して着替え、リビングに降りた。
ガチャ
「あら夕空ちゃん。おはよう。」
キッチンで野菜を切っているおばさん。
「おはようございます。おばさん。」
私は手を洗い、お手伝いしようとした。
「あらら!いいのよ夕空ちゃん。座ってて?」
私より少し背の低いおばさんは、困ったように笑った。
「いえ、お手伝いさせてください。」
そう言うと、おばさんは「じゃあ…」と言って卵を渡した。