あの日の朱雀
「といてくれる?」
ニコッと笑うおばさん。
「はいっ!!」
そう言って、私は卵をといた。
「夕空ちゃん、娘ができたみたいで嬉しいわ。」
おばさんは野菜を炒めながら言った。
「そんな。朱花さんがいるじゃないですか!」
ボウルを抱えながら私は笑った。
「あの子なんか朱雀より男っぽいわよ!困っちゃうわ。」
そう言って笑った。
「私も…お母さんができたみたいで嬉しいです。」
「…もう、貴方のお母さんよ。」
少しだけ、涙がでた。
「さ!お父さん起こしてくるわね?」
あれ?お休みなのに?
「今日はね、動物園に行くのよ!!!」