あの日の朱雀
お弁当を作って、車に乗って、動物園に向かった。
運転席におじさん。助手席におばさん。
2列目にお姉さんと朱音君。
3列目に私と朱雀さん。
「ちぇ~、俺夕空姉ちゃんと一緒がよかったな~。」
シートから顔を覗かせた朱音君。
「悪かったわね。」
ゴツンとげんこつをかますお姉さん。
「ガキに渡すかバーカ。」
下をだす朱雀君。
「へんだ!いつか兄ちゃんよりかっちょいい男になるし。」
そう言って、お菓子を食べだす朱音君。
「まだまだ子供だな。」
そう言って私の方を見た朱雀さん。
「誰にも渡さないから。」
小さな声でそういった。