あの日の朱雀
そうしてしばらく車に乗っていると、動物園に着いた。
「ひゃっほう!!」
はしゃぐ朱音君をお姉さんが止めた。
「めんどくさいから走るな。絶対迷子になるんだから。」
長い髪をかきあげたお姉さんは、とてもかっこいい。
「はーい…」
悔しそうに返事をする朱音君。
「ここからは別行動にしましょうか。私達は一緒に回るから、朱雀は夕空ちゃんと2人で回りなさい。」
「あぁ。分かった。」
朱雀さんと…
「デートだな。」
ニヤっと笑う朱雀さん。
「うんっ!」
そうして私達は逆方向に歩き始めた。
「お昼はパンダ広場だからねーっ!!」
おばさんの声がした。
「はーい!!」
手を思いっきり振った。