あの日の朱雀
同情とかじゃない。
不安だったの。
もし、その人がまた朱雀さんを好きになったら…
私がいない間に、告白したら?
会っちゃったら?
そんな事がココロから離れなかっただけ。
「夕空…」
抱きしめる力が増していく。
大きな翼も。
今日は少しだけ弱い。
「いいんだ。今はお前がいるだろ…?」
私の後頭部を優しく撫でる朱雀さん。
「…っうん…」
がっちりとした背中が、私の不安を解いた。
「…大好き…」
そうつぶやいた私の唇を、朱雀さんは有無を言わさずふさいだ。