あの日の朱雀




靴がある。



帰ってる。




「ただいまっ…」




私は静かにリビングの扉を開けた。




「夕空か。」




ソファに座ってテレビを見てるお兄ちゃん。




「うん…。」



「勉強してんのか。」



「うん。」



「今度はいつ帰ってくんだ。」



「夏休み終わったら。」



「どこいってんだ。」



「友達ん家。」



「大地か?」



「ううん。」



「墓参りは?」



「1人で行く。」














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