あの日の朱雀
私、何してんだろ。
私ってなんだろ。
お兄ちゃんと離縁してから、そんな事ばかり考えていた。
「夕空ちゃん。」
おばさんが食卓から話しかけてくる。
「はい?」
少し焦っているようだ。
「朱雀がお弁当、忘れていったみたいなの。届けに行くんだけど、行くかしら?」
車のキーを持っているおばさん。
「いいんですか?」
「えぇ。こんなおばさんより、可愛い夕空ちゃんが届けた方が朱雀は喜ぶわ。」
優しい笑顔。
「はいっ!」
私は急いで支度をした。