あの日の朱雀
第14話 『夏祭り』
「夕空~!!うわぁぁぁぁあん!!」
8月30日。
夏休み終了まであと2日。
時刻は夕方5時。
目の前で泣いているのは、最近髪を切った朱音君。
「ど、どうしたの?」
おばさんの手伝いをしていた私は、手を拭いて朱音君に近づく。
「父ちゃんが~!!夏祭り連れてってくんないぃ~!」
「夏祭り?」
涙でぐしょぐしょの朱音君。
「近所で毎年やんのよ。花火も上がってね。」
お姉さんがタバコに火をつけながら言う。
「そうなんですか…で、なんで連れて行ってくれないの?」
「グスッ…しゅ、宿題…終わって…っく…ないから…」
あらら…
これは朱音君が悪いわ。