あの日の朱雀
夜7時。
「お姉さん…やっぱ行くのやめたいです…」
浴衣を着せてもらった私は、とてもとても後悔している。
「は?何言ってんの!」
だって、全然似合ってない。
お姉さんの浴衣。
淡いピンク色の桜が散りばめられている、紺地の浴衣。
お姉さんには似合いそうだけど、私は全然似合わない。
「似合ってるって。自信もちな。」
お姉さんの部屋でモジモジしている私。
「でもぉ…」
「ほれ、ウジウジしてると蚊がわくよ。」
そう言って、強制的に部屋を出された。