あの日の朱雀
夏祭りは大勢の人でごったがえしていた。
「凄いっ!」
お祭りなんて久しぶりで、私は大はしゃぎだった。
「おいおい。はしゃぎすぎだろ。」
なんていいつつ、朱雀さんも楽しそう。
「夕空。この金魚欲しいか?」
とびきりの笑顔で聞いてくる朱雀さん。
金魚すくいだ。
「いいの?」
小さな金魚たちが泳いでいる。
家に持って帰ったら、きっと朱音君喜ぶよね。
「あぁ。見てろよ。」
屋台のおじさんに100円を私、袖をまくる朱雀さん。
「わぁ…」
凄く上手だ。
あっという間に桶に金魚が溜まっていく。