あの日の朱雀
「こんくらいでいいか?」
10匹くらいの金魚が桶で泳いでいる。
「うんっ!ありがとう!」
袋に入れてもらい、私はそれを手に持った。
宝物だ。
「ほかに欲しいもんあるか?」
握られた手が暖かい。
「うーん…あ…」
カキ氷の屋台が目に飛び込んできた。
「ん?氷か?」
朱雀さんが屋台に向かった。
「何味?」
朱雀さんが笑って聞いてきた。
「イチゴがいい。」
私も笑ってこたえる。
「分かった。イチゴ1つとレモン1つ。」