あの日の朱雀





星が出ている。




「お母さんと仲直りしたい?」



「うんっ」




真っ赤な瞳を揺らして言う朱雀。




「じゃ、あの一番でっかい星に謝んな。」




私が指を差したのは、夜空の中でひときわ目立つ大きな星。




「…なんで?お母さんに謝るんじゃないの?」




不思議そうな顔をする朱雀。




「あんた絶対できないもん。だから、星に謝るの。」



「?なんでー?」



「一番大きい星はね、神様の”ごめんねポスト”なんだよ。」




私は大きな声で言った。




「ごめんねポスト?」



「そ。あんたみたいに謝れない子達が、一番大きい星に謝るの。そうすると、神様の所に手紙として届くわけ。」



「ふーん。」



「そうすると、神様はその子達を許してくれんだよっ!」












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