あの日の朱雀
ガチャ・
「おい、今のなんだ?」
これだけは聞き覚えのある。
低い声。
「…朱雀…?」
私は頭を抑えながらドアを見た。
赤いTシャツに学ランをだらしなく着た朱雀が立っていた。
「バカだなおまえ。高熱患者がいきなり起き上がったりするからだ。」
そう言って、冷えピタを私のおでこに貼った。
「あの…」
「ん?」
真っ赤な瞳で朱雀がこちらを見た。
「どうして…」
私は聞きたい事がたくさんあって、何から話せば良いのか分からなかった。