あの日の朱雀
「昨日、お前が公園でワンワン泣いてたのみて、最初はうるせぇって言おうとしただけだったんだけど。おまえがあんまり可愛い顔で泣くから…その…」
柄にもあわず途中から顔を真っ赤に染めて、朱雀は話はじめた。
「しかもずぶぬれで、転んで所々ケガしてたし…俺の事知らないくせに朱雀って呼ぶし…だからその…ほ、ほっとけなかったんだよっ!!」
最後はやけになりながら話をした。
どうしよう…
この人実は最高に良い人だ…。
「あ、ありがとう…ございます…」
私は朦朧とする意識でお礼を言った。
「べ、別に気にしてない。」
そう言って、そっぽを向いてしまった。
「じゃあ。」
そう言って、出て行こうとした朱雀さんを、私はなぜか止めてしまった。
「待ってくださいっ…」
「…?」
恥ずかしそうな顔で朱雀さんは振り向いた。
「もう少し…お話しませんか…?」