あの日の朱雀




フワッ





「…ふぇ…」



「無理しちゃダメだって!いいよ。泣いても。昨日言ったじゃん?」




頭の上には、暖かくて大きな手。




「朱雀にはなれないけど、励ます事はできるから。」



「っく…ふぇ…」



「大丈夫。大丈夫。頼っていいから。」




私は




「夕空ちゃんに笑顔が戻るまで、ここにいていいよ。」




どうしても




「いつか。朱雀の所に帰る日は、夕空ちゃんが元気になってる日。」




支えが必要だった。




「それまで俺が、守ってあげる。」




暖かい




「ごめん。でもさ。」




翼のような




「俺、夕空ちゃんが好きだわ。」












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