あの日の朱雀
「く、九条夏子…ナツ…です。」
少し緊張気味に言うナツ。
「ナツ…ちゃんね。始めまして。夕空の仮彼氏。東雲桂馬です。」
ペコリとお辞儀する桂馬さん。
「仮彼氏…?」
「いや、それは、その…色々あってね。」
私はフォローに必死だ。
「ま、僕の片想いってだけかな。」
ケラケラと笑う桂馬さん。
「桂馬さん…」
そんな事言われたら、私だって何もいえない。
「…で、夕空。今まで何してたわけ?」
ナツは急に真剣な顔になり、私の方を向く。
ふいに私は、桂馬さんを見てしまう。
「俺がいる。」