あの日の朱雀




しばらくたって、階段をあがってくる音がした。



朱雀さんだ。




ガチャ




「夕空。持ってきたぞ。」




お盆にのった小さなお鍋。



良い匂いがした。




「ほら、食え。」




スプーンにすくったおかゆを朱雀さんが差し出してくる。



昨日の傘を差し出してきた時の事を思い出した。




「ありがとう…ございます…」




ダメだ。



どうしても・・・




「っく…」










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