あの日の朱雀




「っうっ…」




涙がこみ上げる。




「早いな。あっという間だった。」




グスッという声が聞こえる。




「ま、これがハッピーエンドだ。」




そう言って、私の背中をポンッと押す。




「桂馬さ…」



「振り返るなっ。」




展望台に響き渡る大きな声。




「ありがとう、夕空。朱雀によろしく。」




コツコツ、と桂馬さんが去っていく音が聞こえる。




「ーっ」

















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