あの日の朱雀
教室の扉を開ける。
「おはよー。」
私の顔を見るなり、飛びついてくる子が1人いた。
「夕空!!どこ行ってたの!?2日も学校休んでっ。」
親友の夏子。通称ナツ。
「ごめんナツ。風邪引いちゃって。」
ナツは陽気で明るく、友達思いの子だ。
相当心配していたらしい。
茶色のショートをゆらして、私のカバンを持ってくれた。
「病み上がりなんでしょ?持ってあげる!」
ニコニコしながら、私の席まで運んでくれた。
私は隣の席をふとみた。
愛しかった人。
大地の席だ。
ポケットに手を突っ込み、足をくんで携帯をいじっている。