あの日の朱雀
「ほらほら五十嵐君!愛しの彼女と久々の再会だよ?」
ナツ…
たまーに余計なんですけど。
「…あ、あぁ。」
携帯から顔を上げ、気まずい雰囲気をかもしだす。
「どうかしたの?ケンカ?」
ナツが心配そうに言った。
「んー…あ、後で話すから。」
ナツは何かを察した様子で、「分かった」と言った。
丁度いいタイミングで、チャイムが鳴った。
一番後ろの窓際。
窓を触ると、とても冷たい。
泣き出しそうになるのを、必死で我慢した。
朱雀さんの言葉があったから…。
小さな声で
「泣かないよ」
そう言った。