あの日の朱雀
「どう…して…」
私の目からは涙がこぼれていた。
「電話の声で分かった。どうして我慢するんだよっ。」
ギュウっと私を強く抱きしめた。
「だって…っく…」
「そいつの事で泣くのは今日が最後だ。だからその分、思いっきり泣いて良い。」
朱雀さんの匂い…
会ってまだ2日程度…
なのにどうして…
こんなに優しいの…?
「っく…ひっく…」
私の目から、とめどなく溢れる涙。
「夕空…。」
私は朱雀さんの背中にしがみついた。
大きな朱雀さんは、私の倍はあるだろう。
大きな翼で、私を抱きしめた。