あの日の朱雀
「ううん。なんかね、ホントの笑顔っていうか!可愛くなった。」
ナツが言った。
「あ、ありがとう…!」
「新しい恋でも見つけたの?」
ニコッと言うナツ。
新しい…恋…。
ふと、朱雀先輩の笑顔が脳裏にうかんだ。
「あれれ?まさかの図星??」
ナツはからかうように笑った。
「な、ち、違うよもう!!」
私が笑いながら時計を見ると、約束の時間だった。
「あ、じゃああたし、そろそろ行くね?」
「うん!また明日ね。」
ナツがひらひらと手を振る。
ナツもこれからデートだそうだ。
私も駅へ急いだ。