あの日の朱雀




「っ…はいっ…」




私はうまく返事ができなかった。



朱雀さんの頬に、涙がこぼれていたから。




「ゆ…ら…。」




胸に顔をうずめると、朱雀さんの良い匂いがした。




「おまえを…離さないから…」




私は朱雀さんの背中にしがみつき、




「私も…」




そういった。















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