あの日の朱雀
その女性は、手になにやら箱を持っていた。
「あー。結構やられちゃってるね。」
そして、布団の傍にしゃがみこみ、箱を開けた。
中には、包帯や消毒液が入っている。
…救急箱…?
「あたし、朱雀の姉貴の朱花(しゅか)。あいつ今、下でおかゆ作ってるから。」
そう言って、私の方を向いた。
確かに…
朱雀に似た、でも黒い瞳。
鼻筋が通った鼻。
小さな顔。
耳にはたくさんのピアス。
「包帯取るから。我慢しなよ。」
そう言って、私の包帯をゆっくりほどいた。