あの日の朱雀
「朱雀…さん…?」
私は息切れしつつも、朱雀さんの顔を見上げた。
「…なんでもっと俺を頼ってくんないんだよ…」
そう言って、背中を見せる朱雀さん。
ガッチリしていていつもは頼りがいのある背中が、今日は寂しそう。
「俺…おまえの彼氏だぞ…?もっと頼ってくれて…いいんだぞ…?」
ポツリポツリと話す朱雀さんが、なんだかおかしかった。
「クスッ」
私は思わず笑ってしまった。
「なっ…!!」
朱雀さんが振り向いたとき。
ギュ
私は朱雀さんの背中に抱きついた。