灰色の恋
何で手握ってるんだ?
「……………………………………………」
「…沈黙しないでくれる?」
「あ、ごめん。」
「あなた、私が起きるまで待ってようと思ってたらしいけど…あなたまで寝てどうするの?クスッ」
「可愛い寝顔だったから見とれちゃって…」
「そう…」
「とりあえず帰るから…さ」
立ち上がる直前に手を掴まれる。
ギュッ
「待って…まだ帰らないで?」
そんな上目遣いすんなー!俺がそれに弱いと承知のうえか?この女…。
冷静になれ…。まずこの状況から逃れよう。
「桜井」
あら、真面目な声が出た。