霊感少年とメリーさん
今日は、一日いろいろあったな……。
G.S.Sから戻ってきた陽一は、親と他愛のない話をしながら晩ご飯を食べて、風呂に入った。
湯船につかりながら、陽一は今日一日の事を振り返った。幽霊だけが作り上げたG.S.Sに入り、退治専門になったこと。メリー以外の、ボス達に出会ったこと。
ただ、現実だと理解しているが、たった一日で、自分の知らない世界が存在することを知らされただけではなく、自分もそちら側に近い存在であることを知り混乱していた。
メリーが家で説明をしてくれた時は、特殊能力を持つ人間って言われてもあまりピンと来なかった……。だけど、G.S.Sのメンバーに触れて実感した。やっぱり、俺は普通の人間じゃない。
頭の中では何度も理解していたはずだった。だけど、やっぱり何処か現実味が無くて、自分を他人事の様に見ていた。
ただ、陽一は複雑な感情を抱きながら、自分の右手を見つめ続けた。
くそ!グダグダ考えるのは止めだ!今さら、考えたってどうにもならねぇんだ。このまま突き進むしかないだろう!
自分に言い聞かせるように、陽一は決意をした。
風呂から出た陽一は、パジャマに着替えて髪を乾かし自分の部屋へと戻る。陽一は、自分の部屋を見渡して大きく溜息をついた。
本っ当に、頑固な奴だな……。
眉間に皺を寄せて、溜め息をつきながら頭を掻く。そして、躊躇うこともなく、ベランダに出た。ベランダの手すりを登って、屋根に捕まる。
「おい。いつまでそこに居るんだよ」
顔を半分だけ出した状態で、不機嫌そうに声をかける。声をかけた先には、屋根の中心部に膝を三角にして体育座りをした状態で、リュックサックを背負って座っているメリーが居た。
メリーは陽一の顔を見ると、違う方向に顔を向けて何事も無かったかのように屋根の中心部に居続ける。
「おい、いい加減にしろ。いつまで、そこに居るんだよ!早く家に入れよ!」
メリーの素っ気ない態度に、腹を立て陽一は怒り出した。