霊感少年とメリーさん



『嫌よ。私は、貴方の護衛をしているの。屋根に居れば、悪霊が霊結石を壊して入ってきてもすぐに対処が出来る。だから、ここにいるのよ』
「だから、さっきから家に入れって言っているだろ!別に、俺の部屋じゃなくてもいい。だから、家に入って好きな所で休め」

陽一は、少し切なそうにメリーに問いかけた。メリーの事を心配している。遡ること、陽一達がG.S.Sを出る際に、美佳南からある事を聞かされる。

『幽霊は死んでいるから、食事をしなくても大丈夫なの。でも、その分睡眠を取らないといけない。睡眠を取ることで、力が回復するの。きっと、メリーの事だから徹夜で陽一くんの護衛をすると思うの。だから、少しでも休むように呼びかけてね』

陽一は、約束を守るためにメリーに呼びかけているだけではなく、陽一自身もメリーに休んで欲しいと心の底から思った。

『陽一の気持ちは嬉しい。でも、パートナーになった以上、G.S.Sの役目を果たさなくてはいけないの。だから、ごめんなさい』

陽一の願いを無視し、使命を全うに果たそうとするメリー。しかし、外見では素っ気ない態度をとり続けているが、内心では嬉しくてたまらない状態になっていた。

ごめんなさい。貴方の優しさに甘えるわけにはいかないの。お願いだから、私に優しくしないで。じゃないと、私は……。

「ほ~~~。お前の気持ちはよーーーーく分かった。お前の好きにしろ。そのかわり、俺も好きにさせてもらうぜ」

普段とは違い、何かを企んだ口調で話す陽一。メリーは、陽一が不審な動きをするんじゃないかと心配になってベランダに向かう。

屋根からベランダを覗くと、陽一の姿は見当たらなかった。メリーは、陽一が怒って部屋に帰ったんだと分かり安心する。

安心したメリーは、先ほど居た場所に戻った。引き続き護衛をしようとするが、ガラッと窓を開ける音がベランダの方から聞こえる。慌ててベランダへ向かい覗き込む。そして、目の前の光景に驚き、大声を出してしまう。

『何をしてるの?!』
「お前には、関係ないだろ。俺が何処で寝ようと、俺の勝手だろう」

そこには、椅子に座りながらメリーを睨み付ける陽一の姿があった。今の状況を理解する事が出来ず、陽一に問い続ける。

『なんで、此処で寝るの?!ちゃんと部屋で寝て!』
「うるせぇな。お前に、指図される覚えは無いんだよ。今から俺は寝る。邪魔するな」

メリーの必死の叫びを、全く受け入れようとしない陽一。陽一は、メリーを無視して椅子に座ったまま眠ろうと瞼を閉じた。



< 101 / 119 >

この作品をシェア

pagetop