霊感少年とメリーさん

「慌てるな！冷静になれ」

《♪～♪～》

慶太を落ち着かせようとする陽一だが、また電話が鳴り響く。

「ぁ…ぁ…」

慶太は、顔を真っ青にして震えながら後退りをしていた。電話に出ようとしない慶太の代わりに、陽一が電話に出る。

『ｻﾞァ…もしもし？今ね、貴方の家の前に居るの…ﾌﾟ-ﾌﾟー』
「ぅ…嘘、だろ……」
「おいっ！」

止めの一言に慶太は、仰向けになりながら気を失う。

「言いだしっぺが、気絶してどーすんだよッ！起きろッ！」

陽一は、慶太の意識を取り戻そうと頬を叩く。

くそ、ダメか…。てか、気絶するほど怖いくせにこんなこと提案してきやがってッ！

気絶をした慶太に対して、怒りを覚える陽一。

まぁでも、鍵はかけてある。さすがに、家の中に入ってこれないだろ…。

陽一は、自信があった。陽一は、毎回の戸締まりを欠かさず徹底に確認する程、几帳面な生活なのだ。仮に、メリーが家の中に入ってこようとするなら、やすやすと侵入できない。

《♪～♪～》

そうわかっているのに、電話がかかってきた途端に、陽一の手はかすかに震えていた。

何怖じ気づいてるんだ！怯える必要はないだろッ！

恐怖に体が強張っているが、自分に渇を入れて電話に出る。