霊感少年とメリーさん
「古池!」
次の日、学校の昼休み時間。教室で友達とご飯を食べていた古池は、同じ剣道部員である林に呼び出された。
「林じゃん。どうした?」
慌てて声をかけてきた林に、不思議そうに話しかける古池。
「それが、俺達にも分からないんだけど、織原部長が、今から剣道部員は屋上に集合しろって言われて、声を掛けに来たんだ」
「部長が?今までそんな呼び出しなかったのに…。分かった。今から行く」
今まで召集がかからなかったので、不審に感じる古池。しかし、部長命令なら仕方ないと胸にモヤモヤとした気持ちを残したまま、林と一緒に屋上に向かった。
「悪いな。休み時間に集まってもらって」
屋上には、陽一を囲むように剣道部員が集まる。部員たちは、胸の内をハラハラさせていた。誰かが何かやらかしてしまい、今から怒られるのではないのか、、、不安な考えが頭を過る。
部員達の気持ちとは裏腹に、陽一は貴重な休み時間に集まってくれた部員に申し訳なさそうに話し始める。
「実は、お前らに守ってほしい約束事がある。怪奇現象に関する遊びをするな」
陽一の言葉を聞いた途端、全員が呆然となって口を開ける。目の前に居るこの人は、何を言ってるのか?と。部員の思考が置いてけぼりになっているのに気付かない陽一は、さらに話し続ける。
「俺の友達の知り合いの奴が、遊びで怪奇現象をして、大怪我をしたらしい。幽霊の存在を信じてるわけじゃないが、大会が近いからお前らに何かあったら嫌なんだ。もし周りの奴らでやろうとする奴が居たら止めてくれ。それでも、止めない奴らは、すぐ俺に知らせてくれ」
あの現実主義で幽霊を信じない陽一が、怪奇現象を行う事に注意喚起を促している事に驚きを隠せない部員たち。
「あ、あの、部長の言いたいことは、分かりました。もし、その約束を破るとどうなりますか?」
勇気を振り絞り、林が恐る恐る挙手をしながら発言をする。林の発言後、陽一は冷たい眼差しを部員たちに向けながら話す。
「1ヶ月以上、剣道部伝統の特別強化メニューを受けてもらう」
陽一の言葉を聞いて、部員達の間でヒィィ!と悲鳴が上がる。特別強化メニューは、あまりにも過酷で陽一以外耐えられなかった、剣道部の伝統のメニューがある。あまりにも厳しすぎる鍛練に部員達が顧問の先生に、止めてほしいと訴えたので、仕方なく封印したメニューなのだ。
それを1ヶ月しなければならないと考えると、部員たちにとっては、地獄の日々である。
何故そこまで、強行な手段を取るのか理解出来ないが、陽一が本気だと改めて確信をする。
陽一が「以上解散。」と言うと、部員たちは瞬時に解散をした。何があっても怪奇現象に関わってはいけないと強く誓いを立てた部員たちだった。
部員が去っていくなか、不服そうに陽一を見つめる慶太の姿があった。
「慶太、話がある」
陽一は、慶太が何かを言いたげそうなのを察するが、そこには触れずに話しかける。