霊感少年とメリーさん
『じゃあ、行き「ちょっと待て」
陽一は、あることに気がつき、メリーの言葉を遮る。
ドアの一個一個に標識があり、全て数字で書かれている。陽一たちが入ってきたドアの標識は“102”と記されている。
「この数字ってなんだ?」
陽一は疑問を感じ、標識に指を指しながらメリーに尋ねる。
『この標識は、地域を表しているの。このドアは、全て日本全国各地に繋がっているの』
「つまり、このドアを使えば、何処へでも行けるわけか」
陽一は便利だなと、呑気に考える。
『ちなみに此処は西館。北・南・東館もここと同じ様になってるの。さぁ、行きましょ』
陽一たちは通路に向かう。通路は細長く、たくさんの窓ガラスがあり、外の風景が見える。
中庭の様なものがあり、広い芝生の中央には、大きな木が一本立っていた。
その木は、陽一たちが入ってきた楠と同じ、霊結石と同じ色で光り輝く。
「あの木も霊結石で、出来てるのか?」
『そうよ。あの木は、この空間に結界を張ってるの』
今更だが、陽一は自分はとんでもない所に居るんだなと実感する。
なぜなら、陽一にとってG.S.Sの第一印象は、死んだ霊が幽霊となって働き、辛気くさく廃棄された暗い建物だと思っていた。
しかし、その考えが間違いだったので、目の前の光景を受け入れるのに時間がかかるのだ。