霊感少年とメリーさん



そんな彼等を見守っていると、心配そうに有奈が、陽一の元へと駆け寄った。

『織原くん、怪我はしてない?』
「はい。大丈夫です」
『それは、良かった。あの2人は、後で私からきつーく言っておくから安心してね』

陽一を安心させるはずの有奈の笑顔は、何処かドス黒い。有奈の背後に、般若のようなモノが見え、「うふふ」と笑い声の幻聴までもが聞こえてくる。

全然、安心できねぇよ!今にも殺されそうな雰囲気なんだけど……!

『あ、はい……。ありが、とうございます……』

とは言えず、ボスの時よりも冷や汗を掻きながら必死にお礼を言う陽一。そして、陽一は改めて悟った。

G.S.Sは、凶悪な悪霊と戦って人間を護る幽霊が集まる場所。その頂点に立っているボスと有奈が、恐ろしく強いのは当たり前なのだ。

そうでなければ、こんなにも大きな組織をまとめられるはずがない。だから、ボスと有奈の本当の恐ろしさを知っているから、桐夜達は即座に正座をしたのだと納得する。

そう思うと、自分はとんでもない所に来てしまったのではないかと、強く強く後悔する。

『あ、そうだ。私、織原くんに用があったの忘れてたわ。織原くんの体のサイズを測らせて欲しいんだけど、いいかしら?』
「それはいいけど、何かあるのか?」

突然、そんな事を言われて陽一は疑問を抱く。

『G.S.Sでは、退治専門の人の戦闘服を作る決まりがあるの。で、体のサイズを測らせて欲しいの』
「分かった」

すると、有奈はくるっとメリーの方へと振り向く。

『すぐに終わるから、待っててもらえる?』
『はい、大丈夫です』
『ありがとう。じゃあ、織原くん行きましょう』

メリーから承諾を得て、陽一を部屋へと案内し始める。陽一は、有奈の後に付いていくが、はっとメリーに大切な用を思い出す。

メリーに伝えようとするが、今は有奈について行ってるため引き戻ることが出来ない。陽一は、有奈の用が終わってからにしようと考え、有奈の後を着いていく。


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