Dear my Dr.
「おかえりなさい」

「…ただいま」

パジャマ姿のお母さんとすれ違って、そのまま部屋に向かう。

「悠哉くんと一緒だったんでしょ?まだいる?今日お料理教室でケーキ焼いたんだけど、よかったら…」

「知らない!!」

背中で聞きながら、ドアを閉めた。

なんでこんなにイライラしてるんだろう?

悠ちゃんは正しい。

間違ってない。

なのに…。




もし、私が伊崎家に生まれなくても、悠ちゃんは私を選んでくれたかな?

きっと、選ばない。

親が決めたから。

ただそれだけの理由だ。

優しくしてくれるのも、私が伊崎家の娘だからだ。

あのキスだって、ウソ。





悠ちゃんなんて嫌いだ。
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